子どもの熱性けいれんとは?初めてのパパ・ママが知っておきたい対処法と受診の目安
子どもが突然白目をむいて全身をガクガクさせ始めたとき——ほとんどのママは頭が真っ白になり、「どうしよう」と体が動かなくなってしまいます。実際、初めて我が子の熱性けいれんを目の当たりにして「自分が死ぬかと思うほど怖かった」と話すママは多いです。
でも、正しい知識があれば、焦らず落ち着いて対応できます。熱性けいれんは日本の子どもの約3〜9%が経験する、決して珍しくない症状。そして、適切に対応すれば、ほとんどの場合は数分以内に自然に止まります。
この記事では、熱性けいれんの原因・特徴から、けいれんが起きたときの正しい対処法、救急受診の目安、再発予防まで、一つひとつわかりやすく解説します。お子さんに何かあったときに「読んでおいてよかった」と思えるよう、ぜひ参考にしてください。
熱性けいれんとは?原因と特徴を知っておこう
結論から言うと、熱性けいれんとは発熱に伴って起こるけいれん発作のことで、主に生後6ヶ月〜5歳の乳幼児に見られます。
日本では子どもの約3〜9%が熱性けいれんを経験するとされており、特別な病気ではなく「子どもがかかりやすい症状のひとつ」として位置づけられています。
出典: 一般社団法人 日本小児神経学会 | 熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023
なぜ発熱でけいれんが起きるの?
子どもの脳は発達途中にあるため、大人に比べてけいれんが起きやすい状態にあります。発熱によって体温が急上昇すると、脳の神経細胞が過剰に興奮し、けいれんが引き起こされます。
体温が急激に「上がる」タイミングに起こりやすいとされており、「38℃台でもけいれんを起こした」というケースも珍しくありません。
熱性けいれんの主な症状
熱性けいれんは次のような症状として現れます:
- 白目をむく、または目が一方向に動く
- 全身の筋肉が硬直したあと、ガクガクとリズミカルにけいれんする
- 手足を震わせる・突っ張る
- 意識がなくなる(呼びかけても反応しない)
- 唇の色が紫っぽくなる(チアノーゼ)
多くの場合、けいれんは2〜3分以内に自然に止まります。止まったあと、しばらく眠ってしまうことがありますが、これは脳が疲れたためで、自然な経過です。
誰がなりやすい?
以下のようなケースではやや起こりやすいといわれています:
- 家族(親・兄弟姉妹)に熱性けいれんの経験がある
- 生後6ヶ月〜2歳ごろ(特に多い年齢帯)
- 体温が急激に上がりやすい体質
熱性けいれんには遺伝的な素因が関わっていることがわかっており、「上の子が経験した」という場合は下の子にも起こる可能性があります。
熱性けいれんが起きたら:落ち着いて行動するためのステップ
まず深呼吸して、冷静に行動しましょう。 けいれん中は特別な処置をしなくても自然に止まることがほとんどです。
Step 1:安全な場所に横向きに寝かせる
ベッドや布団の上なら、そのままでよいです。フローリングや浴室など固い場所・危険な場所にいる場合は、頭を保護しながら安全な場所に移動させ、横向きに寝かせましょう。
横向きにすることで、口から吐物が出ても気道がふさがりにくくなります。衣類が締めつけていれば、首まわりをゆるめてあげましょう。
Step 2:時間を計る
けいれんが始まった時刻を確認し、スマートフォンのタイマーなどでけいれん時間を計ります。5分以上続くかどうかが、救急車を呼ぶかどうかの重要な判断基準になります。
Step 3:発作の様子を観察・記録する
後で医師に伝えるために、以下の点を観察しておきましょう:
- 全身がけいれんしているか、体の一部だけか
- 左右差(右と左で動きが違うか)はあるか
- 目はどの方向を向いているか
- 呼びかけへの反応はあるか
- けいれんは何分続いたか
可能であればスマートフォンで動画を撮影しておくと、医師への説明にとても役立ちます。
やってはいけないこと
パニックになると、つい危険な行動をしてしまうことがあります。以下のことは必ず避けてください。
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 口の中に指や割り箸を入れる | 噛みつかれたり、折れた破片で気道を傷める危険があります |
| 体を強く押さえつける | 骨折・脱臼の危険があります |
| 体を激しく揺する | 状態を悪化させることがあります |
| けいれん中に水や薬を飲ませる | 嚥下できず窒息の危険があります |
こんなときはすぐに救急車を!受診の目安
以下に当てはまる場合は迷わず119番に電話してください。
- けいれんが5分以上続いている(5分を超えると薬でけいれんを止める必要があります)
- 一度止まったけいれんが再び繰り返す
- 体の左右どちらか一方だけがけいれんしている(局所性)
- けいれんが止まっても意識がなかなか戻らない
- 呼吸が苦しそう・顔色がとても悪い状態が続く
- 生後6ヶ月未満の赤ちゃんのけいれん
出典: 子どもの熱性けいれん対処法は?5分ルールと救急車の判断基準 | 松平こどもクリニック
初めてのけいれんは必ず受診を
けいれんが5分以内に止まり、意識が戻ったとしても、初めて熱性けいれんを経験した場合はその日のうちに小児科を受診してください。熱性けいれん以外の原因(細菌性髄膜炎など)を除外するために、診察が必要です。
「いつも熱が上がると出る子で、5分以内に止まる場合は様子を見てよい」と主治医に言われている場合は、その指示に従ってください。判断に迷う場合は、#8000(小児救急電話相談)に電話すると、夜間でも看護師や医師に相談できます。
単純型と複雑型——どこが違う?
熱性けいれんには「単純型」と「複雑型」の2種類があります。
| 分類 | 特徴 |
|---|---|
| 単純型(単純性熱性けいれん) | 全身性・15分未満・24時間以内に繰り返さない |
| 複雑型(複雑性熱性けいれん) | ①15分以上続く、②体の一部だけのけいれん(局所性)、③24時間以内に繰り返す、のいずれかに該当 |
熱性けいれんの大多数(約70〜80%)は単純型で、多くは数分以内に自然に止まります。複雑型の場合は、より詳しい検査や治療が必要になることがあるため、受診後に主治医と相談してください。
出典: 一般社団法人 日本小児神経学会 | 熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023
熱性けいれんの再発と予防
熱性けいれんを経験した子どもの約30%が再発するとされています。
ただし、再発しやすいケースとそうでないケースがあります。
再発リスクが高いのはどんな子?
以下のような要因があると、再発の可能性がやや高くなると考えられています:
- 初めてけいれんを起こした年齢が低い(18ヶ月未満など)
- 家族(親・兄弟姉妹)に熱性けいれんの既往がある
- 発熱の初期段階(体温が比較的低い段階)でけいれんが起きた
再発リスク因子がない場合の再発率は約15%程度とされており、多くの場合は1〜2回で収まります。
ジアゼパム(ダイアップ)坐薬による予防
再発リスクが高いお子さんには、発熱時にジアゼパム坐薬(商品名:ダイアップ)を予防的に使う方法があります。「38℃を超えたら挿入する」などのタイミングは医師から指示されます。
この薬を使うかどうか・いつ使うかは必ず医師に相談してください。次の発熱時に備えて、かかりつけの小児科であらかじめ「うちの子には予防薬が必要か」を確認しておくと安心です。
てんかんへの移行は?
熱性けいれんの大部分は予後が良好です。てんかんへ移行するのは約3〜5%とされており、多くのお子さんは成長とともにけいれんが起こらなくなります。
ただし、複雑型のけいれんを繰り返す場合や、発作の様子が通常と異なる場合は、小児神経科の専門医への相談を検討してください。
けいれん後の過ごし方と日常生活
けいれんが止まり、意識が戻ってきたら、焦らず次の点を確認しましょう。
けいれん直後の観察ポイント
- 意識は徐々に戻ってきているか
- 呼吸は落ち着いているか
- 顔色は戻ってきたか
けいれんのあと、数分〜10分程度眠ってしまうことがあります。これは脳が疲れたための正常な反応です。意識が戻って普段に近い様子になるまで、そばで見守ってください。
かかりつけ医への相談と連絡
受診後は、以下のことをかかりつけの小児科医に確認しておくと安心です:
- 次の発熱時にどう対応すべきか(様子を見てよい基準、救急に行く基準)
- 予防薬(ジアゼパム坐薬)が必要かどうか
- 次回受診のタイミング
また、保育園・幼稚園にも熱性けいれんの既往があることを必ず伝えておきましょう。緊急時に適切に対応してもらうために、発作時の対処法を共有することが大切です。
日常生活での注意点
- 体温計を常備し、発熱時は早めに体温を測る
- 熱が出たら、水分補給を積極的に行う
- 入浴は発熱が落ち着いて元気になってから。高熱のうちは短時間のシャワーにとどめる
- 次に発熱したとき「また起きるかも」と過度に不安にならず、普段どおりに接することが大切
「熱が出るたびにドキドキしてしまう」というママは多いです。でも、対処法を知っておくことで、少し気持ちが楽になるはず。不安なことは一人で抱え込まず、主治医にどんどん相談してください。
まとめ
- 熱性けいれんは日本の子どもの約3〜9%が経験する、生後6ヶ月〜5歳に多い症状
- けいれん中は横向きに寝かせて時間を計りながら様子を観察する。口に物を入れたり体を押さえたりしない
- 5分以上続く・繰り返す・左右差がある・意識が戻らない場合はすぐに119番
- 初めてのけいれんは5分以内で止まっても、その日のうちに小児科を受診する
- 再発率は約30%。再発リスクが高い場合はジアゼパム坐薬の処方を医師に相談する
- 大多数は成長とともに起こらなくなる。心配なことがあれば小児科・小児神経科に相談を
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※この記事は一般的な情報提供を目的としています。お子さんの症状や治療方針については、必ずかかりつけの小児科医・小児神経科医にご相談ください。
よくある質問
- Q. 熱性けいれんはどのくらいの子どもに起こりますか?
- A. 日本では子どもの約3〜9%が熱性けいれんを経験するとされており、決して珍しくない症状です。主に生後6ヶ月〜5歳ごろに多く見られ、6歳以降はほとんど起こらなくなります。遺伝的な要素もあり、親や兄弟に熱性けいれんの経験がある場合はやや起こりやすいといわれています。
- Q. 熱性けいれんが起きたとき、まず何をすればよいですか?
- A. まずお子さんを安全な場所に横向きに寝かせ、スマートフォンなどでけいれんの開始時間を計りましょう。口の中に指や物を入れたり、体を強く押さえたりするのは危険なので避けてください。5分以上続く場合や繰り返す場合はすぐに救急車(119番)を呼んでください。
- Q. けいれんが5分以内に止まったら、受診しなくてよいですか?
- A. 初めてけいれんを経験した場合は、5分以内に止まったとしても、その日のうちに小児科を受診することをおすすめします。熱性けいれん以外の原因(細菌性髄膜炎など)を除外する必要があるためです。2回目以降で主治医から「5分以内なら様子を見てよい」と指示されている場合は、その指示に従ってください。
- Q. 熱性けいれんは繰り返しますか?予防できますか?
- A. 熱性けいれんを1回経験した子どもの約30%が再発するとされています。再発リスクが高いお子さんには、発熱時にジアゼパム(ダイアップ)坐薬を予防的に使う方法があります。使用するかどうかは医師の判断が必要ですので、かかりつけの小児科に相談してください。
- Q. 熱性けいれんは将来てんかんになりますか?
- A. 熱性けいれんの大部分は予後が良好で、約3〜5%がてんかんに移行するとされています。ほとんどのお子さんは成長とともにけいれんが起こらなくなります。ただし、けいれんが長時間続く、体の一部だけで起こる、短時間で繰り返すといった場合は、小児神経科の専門医に相談することをおすすめします。